-
修繕費とリフォーム費の違いは何でしょうか?
-
修繕費はその年の経費にできますが、リフォーム費用の一部は「資本的支出」として数年に分けて経費化します。
こんな相談がありました(事例)
福山市で築30年の木造アパートを所有しているBさん。
長期入居者の退去後に、以下のような改装を行いました。
• クロスの全面張り替え:22万円
• トイレの便器交換(ウォシュレット付き):18万円
• キッチンの入れ替え(システムキッチンに変更):90万円
• フローリングを全面張り替え:45万円
これらをすべて「修繕費」として確定申告しようとしたところ、税理士から「一部は資本的支出として減価償却が必要です」と指摘されました。
修繕費と資本的支出の違いとは?
まず前提として、どちらも経費として認められる支出です。違いは、経費にできるタイミングです。
項目 | 経費の種類 | 内容 |
---|---|---|
定義 | 建物の維持・原状回復のための支出 | 建物の価値を高めたり、使用期間を延ばすための支出 |
会計処理 | 支出した年の経費になる | 建物の耐用年数に応じて、数年かけて減価償却する |
例 | クロス張替え、給湯器交換(同等品)など | システムキッチンの導入、間取り変更など |
修繕費に該当するケース
- 壁紙・天井クロスの張替え
- 雨漏りの修理
- 同等グレードでの設備交換(給湯器・便器など)
- 給排水管の修理
- 原状回復工事(退去後の修繕)
※支出金額が20万円未満であれば、実務上は修繕費として処理できる可能性が高いです(税務通達ベース)。
資本的支出に該当するケース(減価償却が必要)
- 古い和式トイレ → 最新型洋式トイレへ変更
- システムキッチンへの交換(グレードアップ)
- 間取り変更(2DK → 1LDK)
- 外壁の張り替えで建物の価値が向上した
- 太陽光発電パネルなど付加価値の高い設備導入
このような支出は、建物全体の「資産価値を高めるもの」とみなされ、10年〜22年程度の耐用年数で減価償却が必要になります。
なぜ区別が必要なの?
修繕費と資本的支出を正しく区別しないと、税務署から申告内容の否認や修正申告を求められることがあります。
特に金額が大きく、価値を高める内容が含まれる場合、注意が必要です。
実際の処理方法(事例の続き)
Bさんのリフォーム内容を税理士と確認した結果、以下のように分類されました。
項目 | 経費の種類 | 内容 |
---|---|---|
クロス張替え | 22万円 | 修繕費 |
トイレ交換 | 18万円 | 修繕費(20万円未満) |
システムキッチン導入 | 90万円 | システムキッチンの導資本的支出 → 減価償却(15年) |
フローリング全面張替え | 45万円 | 資本的支出 → 減価償却(15年) |
このように一つの工事であっても、工事内容ごとに判断して仕分けすることが重要です。
ポイント
- 修繕か資本的支出かは「実態」で判断されます。
- 見積書・契約書・写真などを残しておくと、後の証明資料になります。
- 築年数や工事目的、交換前後のグレード差が判断材料になります。