法人・個人・消費税の知識

空室が続いた場合の申告~不動産オーナー様の確定申告~

収入ゼロの場合でも確定申告は必要でしょうか?

はい。たとえ空室で収入がなくても、経費が発生していれば確定申告は必要です。

こんな相談がありました(事例)

広島県福山市で築25年のアパートを所有するAさん。
今年は、1室が退去後に長期間空室となり、年間収入は例年の約6割になりました。
Aさんは「家賃収入が少ないから今年は申告しなくていいのでは?」と考えていましたが、当事務所にご相談いただいたことで正しく申告の必要性をご理解いただけました。

なぜ空室でも確定申告が必要なのでしょうか?

不動産所得の計算は、次のように行います。
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費
つまり、たとえ収入がゼロでも、経費が発生していれば、申告することで「赤字」として計上できるのです。

代表的な経費の例(空室でも発生するもの)

経費の種類内容
固定資産税所有しているだけで毎年課税
減価償却費建物や設備の価値を経年で按分する経費
管理費物件の管理のために管理会社に支払う経費
空室対策の広告費仲介業者への広告依頼、募集費など
火災・地震保険料建物にかけている保険の年間保険料
ローン利息借入金のうち利息部分のみが経費

確定申告をするとどんなメリットがあるの?

赤字の「繰越損失」ができる(青色申告限定)
青色申告をしていれば、その年に出た赤字は最長3年間繰り越せます(所得税法第70条)。

  • 令和6年:赤字30万円
  • 令和7年:黒字40万円 → 差し引き10万円分だけ課税となります。
  • 令和8年:さらに赤字があれば再度繰越適用可能となります。

将来の黒字と相殺することで、税金の負担を軽減できるのです。

よくある勘違い

❌「申告しない方が得だと思っていた」
実は逆です。空室でも経費があれば、申告することで節税につながることがあります。
特に青色申告者の場合は、帳簿をきちんとつけておくだけで繰越損失が使えます。

空室期間がある年ほど、必要経費が家賃収入を上回る可能性が高く、赤字になることもあります。
申告を怠ると「申告義務違反」として後にペナルティを受ける可能性もあるため、空室だからこそ丁寧な記帳と申告が重要です。

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