はじめに
確定申告書の作成は、多くの人にとって少し複雑に感じられる作業です。しかし、各欄の意味や記入方法を正しく理解すれば、決して難しいものではありません。本記事では、確定申告書の主要な項目ごとに、具体的な記入方法を徹底解説します。特に初めての方や、迷いやすいポイントについても詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
確定申告書の種類を確認しよう
確定申告書には「申告書A」と「申告書B」の2種類があります。まず、自分がどちらを使用するべきか確認しましょう。
- 申告書A
給与所得者や年金受給者など、主にシンプルな所得申告を行う場合に使用します。 - 申告書B
自営業者やフリーランス、副業収入がある人、または不動産所得や株式取引の利益を申告する場合に使用します。
確定申告書の各欄の記入方法
ここでは、申告書Bを例にして具体的な記入方法を解説します。
1.氏名・住所などの基本情報を記入する
申告書の冒頭部分には、以下の情報を記入します
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- マイナンバー
注意点
マイナンバーを記入する欄があるため、マイナンバーカードまたは通知カードを手元に用意しておきましょう。
2.収入金額等の記入(第一表・第二表)
第一表と第二表の両方で収入金額を記入する欄があります。収入の種類に応じて以下の項目を記入します。
- 給与所得
源泉徴収票に記載されている「支払金額」を転記します。 - 事業所得
自営業者やフリーランスの場合、年間の売上金額から経費を差し引いた金額を記入します。 - 不動産所得
家賃収入などがある場合に記入します。不動産収入から必要経費(修繕費、管理費など)を引いた金額を計算して記載します。 - その他の所得
株式の売却益や仮想通貨の利益などは「譲渡所得」や「雑所得」として記入します。
3.所得控除の記入(第一表・第二表)
所得控除を適切に記入することで、課税対象となる金額を減らすことができます。
以下に所得控除の一例を示します。
- 医療費控除
医療費が10万円を超えた場合、その超過分を控除できます。「医療費控除明細書」を作成し、控除額を転記します。
※ただし、その年の総所得金額が200万円未満の人は、総所得金額の5パーセントの金額を超過した金額が医療費控除できます。 - 寄付金控除
ふるさと納税などの寄付金額を記入します。「寄付金受領証明書」を基に正確に記入しましょう。 - 配偶者控除・扶養控除
配偶者や扶養親族がいる場合は、条件を満たしていれば控除を受けられます。扶養親族の氏名やマイナンバーを記入する欄があるため、事前に情報を用意しておきましょう。 - 生命保険料控除
生命保険料の支払いに対する控除を申請する場合は、「生命保険料控除証明書」を基に記入します。
4.税額控除の記入(第二表)
税額控除は、所得税額そのものを減らすことができる項目です。代表的な控除には以下があります。
- 住宅ローン控除
マイホーム購入時に住宅ローンを組んだ場合に申請します。「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を作成し、控除額を転記します。 - 配当控除
株式の配当収入がある場合に申請できます。源泉徴収票に記載された配当金額をもとに記入します。
5.税額の計算(第一表)
課税所得金額が確定したら、以下のステップで税額を計算します。
- 課税所得金額を求める
総所得金額から所得控除額を差し引いた金額を記入します。 - 所得税額を計算する
所得税率(累進課税)に基づいて、税額を計算します。国税庁のホームページや計算ツールを活用すると便利です。 - 税額控除を反映する
税額控除を差し引き、最終的な所得税額を記入します。
6.還付金や追納金の確認(第一表)
税金を納め過ぎていた場合は還付金が、足りなかった場合は追納金が発生します。「還付金の受取口座」を指定する欄に、口座情報を記入しておきましょう。
確定申告書の提出方法
確定申告書が完成したら、提出します。提出方法は以下の3つがあります。
- e-Tax(電子申告)
インターネットを利用して提出できます。マイナンバーカードとICカードリーダーが必要です。 - 郵送
作成した申告書を税務署に郵送します。提出期限が消印有効となるため、期限内に発送すれば問題ありません。 - 税務署に直接持参
最寄りの税務署に持参して提出します。不明点がある場合はその場で相談することも可能です。
確定申告書の作成でよくあるミスとその対策
- 書類の不備
必要な添付書類(源泉徴収票、控除証明書など)を忘れることが多いです。提出前にチェックリストを作成して確認しましょう。 - 記入漏れ
収入や控除の項目を記入し忘れると、正確な税額計算ができません。必ず最終チェックを行いましょう。 - 不正確な計算
税額の計算ミスを防ぐため、会計ソフトや税務署の計算ツールを利用することをおすすめします。
まとめ
確定申告書の記入は、初めての方には少しハードルが高いように感じられるかもしれません。しかし、各欄の意味を理解し、必要書類をきちんと揃えていけば、着実に進めることができます。また、税務署の相談窓口や、専門家のサポートを利用するのも一つの手段です。
この記事を参考に、正確な確定申告を行い、税務上のメリットを最大限活用してください。確定申告に関する疑問や相談があれば、ぜひ当事務所にお問い合わせください!